女性の病気 徹底検証 ~西洋医学的考え~ 乳房の病気…②



乳腺炎
主な症状:乳房のはれ・痛み、 発熱、 わきの下のリンパ節のはれ


どんな病気?
乳腺が炎症を起こす病気で、次の3つ があり、急性の乳腺炎は授乳期多くみられます。

1) 乳汁うっ滞症
出産後、乳管内に乳汁がたまり(うっ滞)、乳房がはれた状態で、細菌の感染は起こしていません。
初産の産褥期(出産後母体が回復するまでの期間)によくみられる。
多くは片側のお乳の出が悪くなり、乳房がはれ傷みを伴います。
初産の場合、乳管が未熟で十分に開いてないことや、
赤ちゃんが授乳に不慣れで、十分ににおっぱいを吸えないことなどが、うっ滞を起こす要因です。
妊娠中から乳房や乳頭をマッサ―ジし、乳管を開くようにして、積極的に授乳することが、
乳汁うっ滞症の予防になります。

2)急性化膿性乳腺炎
ほとんどが乳汁うっ滞症をもとに、細菌が入り込んで炎症を起こすもので、
出産後2~6週ごろに起こしやすい病気です。
授乳中は、乳頭に小さなひびなどができやすく、そこから黄色ブドウ球菌や連鎖球菌などが侵入します。
感染を起こし乳房がはれ上がって激しく痛みます。
乳汁うっ滞症よりも強い症状で、腋窩(わきの下のくぼみ)のリンパ節まではれて痛むこともあり、
38度以上の高熱が出たりします。
お乳に血やうみが混ざる事もあり、感染が長引くと、乳房内にうみがたまっで膿瘍ができることもあります。

3)慢性乳腺症
授乳期以外に乳頭から細菌が侵入して、慢性的に乳腺が炎症を起こしている状態。
主なものとして「乳管拡張症」「乳輪下膿症」などがあげられます。

乳管拡張症 … 更年期の女性に多く、なんらかの原因で拡張した乳管に分泌物などが
        つまり、周囲が炎症を起こすものです。
        乳頭陥没や皮膚のただれ等が表れることもあります。

乳輪下膿瘍 … 乳輪の下にうみがたまるもので、しこりができ、赤くはれたりします。
        ひどくなると膿瘍なら皮膚に通じる穴(瘻孔/ロウコウ)ができ、
        うみがでます。陥没乳頭を伴う場合が多く、再発しやすい病気です。


どう治す?
どの場合でも、炎症の原因となっているものをとり除くことが、まず必要です。

1)乳汁うっ滞症
乳うっ汁滞を解消することが重要です。
痛みやはれががひどいときは、乳房を適度に冷やし水分を多めにとり、乳汁を濃縮させないようにします。
細胞に感染しやすくなっているので、乳首を清潔に保ちましょう。

2)慢性化膿性乳腺症
基本となる治療は抗生物質の服用です。
熱をもった部分を冷やしてはれや、痛みの症状を少しでも軽くします。
高熱が出ているときには安静が必要です 。
うみがたまって膿瘍ができているときは、切開してうみをとり出します。

3)慢性乳腺炎
乳管拡張症 … 自覚症状がない場合が多く、治療もほとんど必要ない。
検診などでみつかると、経過観察をすすめられることが多いようです。

乳輪下膿瘍 … たまったうみを切開してとり除き、抗生物質を投与すると
        症状は消えます。ただし、長い期間にわたって再発を
        くりかえすことが多くみられます。根治のためには手術して、
膿瘍・瘻孔・つまっている乳管まで切除することが必要です。
        しかし、それでも再発の可能性があります。乳腺外科などの
        専門医にかかり、根気強く治療をつづけましょう。


---------炎症性乳がんに注意----------

乳房が赤くはれるとたいていの場合は乳腺炎を疑いますが、
同じような炎症を起こしたように見える病気に、特殊でまれな炎症性乳がんがあります。

この乳がんでは、実際に炎症をおこしているのではありません。
がん細胞が乳房の皮膚のリンパの流れを妨げるために、乳腺炎と似た症状があらわれるのです。

典型的な炎症性乳がんでは、乳房の毛穴がくぼみ、オレンジの皮のようにザラザラになったりします。
はれは始めのうちは痛まないことがほとんどですが、痛みを伴うケ-スも、あります。
乳腺炎の治療をしても、炎症性乳がんの症状は改善しません。
ちょっとした赤いはれでも、気になったら、念のため乳腺外科を受診することが重要です。
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乳腺症
主な症状:乳房のしこり・痛み、 乳頭から分泌物など


どんな病気?
乳房にしこりをふれる病気のなかで、よくみられる良性の変化です。
乳腺症は病気ではなく、年齢相応な乳腺の変化(乳腺の発達と退縮)から、ややはずれた状態と考えられています。                                 ↓↓
痛みを伴うしこりができ、乳頭から透明・乳白色・黄色や血性の分泌物がみられることもあります。
しこりは片側、あるいは両側の乳房にみられます。
周囲との境があまりはっきりしないことが多く、弾力性があり、大きさは大小さまざまです。
このしこりは女性ホルモンの不均衡で乳腺が変化して起こると考えられていて、月経前に大きくなって痛みも増し、
月経が始まると小さくなって痛みも減少することが多いようです。

皮膚の変化はみられません。
30~40代な女性に多くみられますが、閉経後の女性でも症状をうったえることがあります。
ほとんどの場合、特別な治療はありません。
痛みが強い場合は、漢方・炎症鎮痛剤・ホルモン剤を使用することもあります。
しこりをみつけたら、乳腺症か乳がんかを自分で判断するのは困難です。必ず検診をうけましょう。


検査は?
乳がんと共通する症状が多いため、検査の目的は「乳腺症」の判断をするよりも、
乳がんではないかを確かめる点にあります。
マンモグラフィ-検査や超音波検査・細胞診・組織診などを行います。
今あるしこりは乳腺症でも、その後に乳がんが発生しない保証はありません。
今のしこりがある分、新しいしこりができでも見つけにくいということもあります。
乳腺症と診断されても、しこりの変化を自分でチェックするだけでなく、定期的に検査を受けることが大切です。


-----------【のう胞】------------- 

乳腺症の一症状に、のう胞があります。
乳管に液体がたまって腫瘍のように感じられるものです。
超音波検査をすればすぐに診断できます。
大きくならないようであれば特に治療は必要ありません。
気になるようなら注射器でのう胞の中の液体を抜くこともあります
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腺線維腺腫
主な症状:乳房のしこり


どんな病気?
20~30代に多くみられ、周囲との境界のはっきりした しこりです。
円形で弾力性があり、表面がつるつるしている感じで周囲との境がよくわかります。
さわってみると、しこりがコロコロよく動くのが特徴です。
ほとんどの場合、痛みはありません。
たいてい、小さいしこりが1個できますが、複数出来る場合もあります。
進行しても、しこりの大きさが2~3㎝以上になることはあまりありません。
しこりは乳腺の線維組織と腺組織が増殖してできたもので、女性ホルモンが影響してできると考えられています。
閉経後にできることはまれで、若いときにできた乳腺線維腺腫のしこりも、
閉経後は自然に小さくなり、気にならなくなることがほとんどです。
 

どう治す?まず、マンモグラフィ-検査や超音波検査・細胞診・組織診などを行い、
乳がんではないか見分けます。
乳腺線維腺腫ならば、治療は特に必要なく、経過観察となります。
ただ、しこりがもともと大きかった場合や、急に大きくなり始めた場合などは、
手術で摘出するケ―スもあります。
手術は局部麻酔による簡単なもので、日帰りですることができます。
摘出後に再発する例はあまりみられません。



---------その他の乳房の病気----------

乳管内乳頭腫

乳首の真下の太い乳管内に、乳頭のような突起状のしこりができる病気で、30~50代によくみられます。
乳頭からの分泌物で気づくことが多く、痛みを感じたり、しこりに気がついたりすることははとんどありません。
初期の乳がんのなかにも、分泌物が出る症状のものがあるため、
分泌物の細胞診や超音波検査、乳管内視鏡などをおこなって診断します。
乳管内乳頭症であれば、がん化することはほとんどありません。
ただし、その後乳がんが発生さる可能性はあるので、定期的に検査を受けることが必要です。
乳頭腫が大きい場合などは、乳管内視鏡で切除するケ―スもあります。

葉状腫瘍
乳腺線維腺腫とよく似た腫瘍ができる病気です。
10代から幅広い年齢層にみられますが、多くみられるのは、30代以降です。
多くの場合痛みはありません。
線維腺腫より腫瘍が大きめで3㎝以上になることが多く、短期間でどんどん大きくなるのが特徴です。
良性のものがほとんどですが、良性と悪性の中間のもの、約10%に悪性のものもみられます。
治療は手術で腫瘍とその周辺を切除することが基本となります。
再発の可能性もあるので、その後も定期的な検査が必要です。
悪性のものは肺などに転移するケ―スもあります。
悪性といってもがんではなく、肉腫というもので、
放射線やホルモン剤などの治療は効果がないとされ、手術で完全に腫瘍をとり除くことが重要です。
乳房全摘手術が行われることもあります。
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