女性の病気 徹底検証 ~西洋医学的考え~ 子宮の病気…⑥

◇子宮頸部異形症

主な症状:特になし


どんな病気?
子宮頸部の粘膜に、正常な細胞とは違う細胞が発生するもの。
子宮頸がんの「前がん状態」ともいわれる。
前がん状態といっても、正常な細胞ではなく、
かといって、がん細胞でもない細胞がある状態。
すべてががんに変化するわけではありません。
半数程度は自然に治るといわれます。

原因となるのは、子宮頸がん同様「ヒトパピローマウイルス」です。
まれに不正出血なども起こしますが、症状はほとんどない。
そのため、がん検診(細胞診)をしてはじめて発見されます。

若い人にとても増えていて(10代でかかるケースもある)、
細胞の変化の程度によって、軽度・中等度・高度 に分類されます
高度になるとがんに変化する可能性が高い。
高度異形成から子宮頸がんの0期(上皮内がん)へと進行します。
異形成がみつかったら検診を続けることが大切です。



どう治す?
がんになる前に早く発見できたことは幸いです。
がんに変化したとしても、早期なら比較的簡単な手術でほぼ100%治ります。
3~6ヵ月に一度程度の定期検診は欠かさないこと。

・軽度異形の場合、
 多くは自然に治ってしまうので、特に治療は行わず経過観察となります。
 原因となるウイルス排除には免疫力が重要です。
 食事や睡眠などに気を付け、体や心にストレスをためないようにしましょう。

・中等度異形でも、
 軽度異形成となったり自然に治ったりするケース多く、経過観察となります。
 定期検診を続け、中等度異形成の状態が長く続くようなら
 病巣部分だけを取り除く円錐切除術などの治療を行うこともあります。

・高度異形成の場合は、
 中に上皮内がんがまざっていることがあります。
 がんへの進行を防ぐためにも、多くの場合、円錐切除術などを行います。
 円錐切除術後の妊娠では、早産の割合が若干高くなるという報告があります


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子宮頸がん細胞診のクラスの分類

クラスⅠ  … 正常である
クラスⅡ  … 異常細胞を認めるが良性である
クラスⅢa …軽度~中等度異形成を推定する
クラスⅢb …高度異形成を推定する
クラスⅣ   …上皮内がんを推定する
クラスⅤ   …浸潤がんを推定する

クラスⅢ以上で、なんらかの異常があると推定された場合、
コルポスコープ診などの精密検査をおこないます。
その結果によりはじめて、異形成かどうか、その程度なども決定されます。
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◇子宮内膜増殖症

主な症状:月経不順、月経が多い、不正出血/貧血など


どんな病気?
子宮の内膜は受精卵の着床を準備するため、毎月増殖して厚くなります。
それが必要以上に増殖してしまう病気です。
そのため、月経時に剥離する内膜が増え、経血量がとても多くなり、経血の中にかたまりがまざったりします。

原因はホルモンバランスの異常で、エストロゲン(卵巣ホルモン)の作用が強く出ることで起こります。
月経不順の人は注意が必要です。
エストロゲンだけを投与するホルモン療法や、
多のう胞性卵巣症候群、肥満が要因となる場合もあります。

この病気で増殖した内膜の細胞の異常が強い場合を「子宮内膜異型増殖症」といい、
異型のない増殖症と区別します。
異型細胞のない内膜増殖症では、がん化する可能性はわずかです。
子宮内膜異型増殖症は子宮体がんの前がん状態で、がんに変化する可能性があり、特に閉経後はその確率が高くなります。
ただ、20代で内膜増殖症が見つかることも多くなっていて、年齢にかかわらず、月経不順や不正出血など続く人は、子宮体がんの検査を受けることが望ましい。
まずは細胞診、問題があれば組織診を行います。


どう治す?
異型を伴っていなければ、そのまま経過観察になります。
3~6ヵ月に一度の検診を欠かさず受けましょう。
内膜増殖症の状態がずっと続くような場合は、
内膜が定期的に剥離するよう、規則正しいく月経を起こすためのホルモン療法をすることもあります。

・異型だった場合
 閉経しているかどうか、これから妊娠を望むかどうかといったことで、
 治療方針が違ってきます。

・閉経後の場合
 子宮体がんへ変化する可能性も高いため、
 子宮全摘出術ですべて摘出するのがよいとされています。

・閉経前の場合
 これから妊娠を望むような場合は、ホルモン療法を行ったり、
 子宮内膜を全面掻爬したりします。
 内膜全面掻爬は日帰りでも行えるものです。

また、不妊を伴っている場合は、排卵誘発剤できちんとした排卵をうながすことも内膜増殖症の治療になります。

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