女性の病気 徹底検証 ~西洋医学的考え~ 子宮の病気…⑤

◇子宮筋腫

●子宮筋腫の薬物療法

薬物を使った治療は二種類あります。
・貧血や月経痛などの症状を改善させる「対症療法」
・ホルモン剤で筋腫の成長をとめる「ホルモン療法」


▽対症療法
・痛みがあれば鎮痛剤
・貧血があれば造血剤・鉄剤
・漢方薬が処方されることもある

腫瘍そのものは治療せず、起こっている症状を改善します。
筋腫の成長を止めたり、小さくすることはできない。
検診を定期的に受け、観察していくことが必要です。


▽ホルモン療法
ホルモン剤を使い、
筋腫を大きくするといわれる女性ホルモンの分泌を抑えます。
月経を止め、それに伴い筋腫も小さくなります。
貧血も改善されますが、ほてり・のぼせ・肩こり・腟粘膜の乾燥・更年期のような状態などの症状がでます。
骨粗鬆症のリスクも高くなるなど、体への負担が大きいので、
6ヶ月以上は続けられません。
筋腫がなくなることはなく、薬の服用をやめると筋腫は元の大きさに戻る。
手術前に少しでも症状を改善する、閉経までの間一時的に筋腫を抑える、といった場合に選択される治療方法です。

ーーーーーーーーーーーーー
ホルモン治療を選択するケース
・手術をしやすくするために、少しでも筋腫を小さくして貧血を改善したいとき。
・年齢的に閉経が近く、閉経までのあいだ、症状を抑えたいとき。
・手術を先に延ばす必要があり、それまでに症状を抑えたいとき
ーーーーーーーーーーーーー





●子宮筋腫の手術療法

筋腫がとても大きい場合には手術を行います。

手術には…
・筋腫部分だけを取り除く「筋腫核出手術」
・子宮を全部取り除く「子宮全摘出術」
があります。

手術前には貧血を少しでも改善しておくなど、体調を整えておくことが大切。                  筋腫の位置や数、大きいさの問題で、術前にホルモン治療を行って筋腫を小さくし、手術を行いやすくすることもある。

ーーーーーーーーーーーーー
手術療法を選択するケース
・筋腫の大きさが握りこぶし大以上あるとき。
・月経痛や貧血がひどく薬物療法では改善しないとき。
・筋腫が不妊や流産・早産の原因と考えられるとき。
ーーーーーーーーーーーーー


3つの手術法

⑴『開腹手術』
お腹を開くので大きな筋腫にも対応できる。
直接見て手術できるため、小さな筋腫もていねいに切除できる。
お腹を縦に切る方法と横に切る方法があり、
横に切る方が傷あとが目立ちませんが、癒着などが見ずらく、
また、大きな腫瘍が取り出しづらいので筋腫の状態によっては行えません。


⑵『子宮鏡下手術』
お腹を切らずに行う手術法。
主に粘膜下筋腫に行います。
腟から入れた子宮鏡で、子宮内の様子をモニターで見ながら、
子宮鏡の先についた器具で筋腫を切除します。
お腹に傷も残らず、手術後の回復も早いのが特徴です。
筋腫が大きい場合は、手術を何回かに分けて行ったりします。
子宮の外側にある筋腫には行えません。


⑶『腹腔鏡下手術』
お腹にあけた小さな穴から腹腔鏡といわれる内視鏡を入れ、
モニターで中の様子を確認しながら行う手術。
体への負担や傷が小さく済み、回復が早い。
だが、見える範囲が狭く細かい作業はむずかしい。
筋腫が大きい場合は行えない。
設備がある施設も限られ、医師の技術も高度なものが要求されます。


▽「筋腫核出手術」
将来、妊娠・出産を望んでいる場合は、筋腫核だけを手術が行われます。
筋腫の位置や数を詳しく確認しておく必要があります。
そのため、前もって十分な検査を行う必要がある。
子宮が残るので再発の心配があります。
術後に妊娠した場合は帝王切開になることがあります。


▽「子宮全摘手術」
これから妊娠・出産を希望しない場合子宮全摘手術が行われます。
多発性筋腫でひとつひとつの筋腫をとっていくことが不可能な場合に行う。
妊娠・出産は望めなくなりますが、再発の心配がなく、
子宮がんにかかる心配もなくなります。
たいていの場合卵巣は残されますが、
子宮と卵巣の癒着がひどい場合など、卵巣までとり除くこともあります。
両方の卵巣を切除した場合、卵巣がんにかかる心配はなくなります。
術後、更年期のような症状がおこるため、閉経している人・閉経まぎわの人に行われるのが通常です。
もう妊娠を望んでいなくても、女性として子宮を残したいと考える人も多いようです。
主治医からメリットやデメリットを聞いて、よく相談しましょう。


ーーーーーーーーーーーーー
■子宮筋腫の新しい治療法

新しい治療法もでき、治療法の選択は広がっています。
これらは、保険診療の適応外になるので注意しましょう。
行っている施設限られます。
どの治療法を選ぶにしてもそれぞれの長所短所を知りましょう。
主治医とよく相談して納得しておこなうことが大切です。


□集末超音波治療(FUS)
超音波をレンズで1点に集中させ、筋腫を焼き組織を破壊します。
その後筋腫は徐々に小さくなっていきます。
装置の上にうつぶせに寝るかたちで、麻酔も必要なく体に傷をつけずに行います。
体への負担が少ないため、日帰りでの治療が可能です。
筋腫の場所や一定の大きさ以上だと行えません。


□子宮動脈塞栓術(UAE)
太もものつけ根から筋腫に続く動脈にカテーテルを挿入し、動脈をふさぐ物質を注入します。
筋腫に栄養がいかなくなるため、筋腫が縮小し、痛みの症状が改善されます。
筋腫の位置・大きさ・数に関係なく行えます。
傷も小さく体への負担も少なくすみますが、術後の強い下腹部痛や腰痛があります。
 
 
 

このブログの人気の投稿

酵素について Vol.13

体が若くなる技術〈3〉vol.2

低体温と病気 〜睡眠と健康〜 質の高い睡眠は健康のためにはなくてはならないもの Vol.1