女性の病気 徹底検証 子宮の病気…②

子宮内膜症

主な症状:月経痛 / 下腹部痛 / 腰痛 / 排便痛 / 不正出血 / 月経量が多い / 貧血 / 下痢 / 便秘 / 不妊など


どんな病気?
子宮の内側をおおっている内膜とよく似た組織が、
子宮内膜以外の場所にできる病気。
子宮の内膜は月経のたびに増殖し、はがれて出血します。
別の場所に発生した内膜組織も、ホルモンの影響を受け、
同じように月経のたびに増殖し、はがれて出血します。
本来の子宮内膜ではがれた組織や血液は、月経として膣から外へ出るのですが、
それ以外の病巣では組織や血液が外に出ることができず、
炎症・癒着・痛みなどの症状を引き起こします。

強い月経痛が主な症状です。
月経のたびに病巣が増殖していくにつれ痛みも増していくのが特徴です。
病巣が発生する場所・病巣の大きさ・癒着の状態などにより痛みの違いがある(自覚症状がない人もいる)

月経の回数が多いほど発生率が高くなる。
・以前にくらべて妊娠・出産の回数が減り、月経の止まる期間が短くなっていること
・初経の年齢が下がっていること
・環境ホルモンの影響  等が、
子宮内膜症増加の一因とされています。

発生しやすい場所
・骨盤内が主な場所
・複数の場所に一度にできることがある
・特に発生しやすいのは「腹膜」「卵巣」「ダグラス窩」の3カ所

腹膜 … 比較的小さな病変が多く、癒着しやすいのが特徴。
 子宮内膜症のなかでは経度のものも。
卵巣 … 茶色のどろどろとなった血液が卵巣内にたまる「卵巣チョコレートのう胞」
 子宮内膜症が卵巣内に発生してできるもの。
ダグラス窩 … 子宮の後方、直腸との間にあるくぼみ。排便痛をひきおこす。

まれに肺・へそ・胃などに発生するケースもあるが、
骨盤外に発生したものは「腹膜外子宮内膜症」とされ、子宮内膜症とは区別されます。


子宮内膜症の痛み・月経時の特徴
痛みの特徴を知っていることは、早期発見に役立ちます。
ただの月経痛とがまんしないで気になる痛みがあったら受診しましょう。

・強い月経痛で、市販の鎮痛剤を飲んでも効果があまり感じられない
・月経時に下腹部痛だけでなく、吐き気や頭痛などもある
・月経痛が年々強くなる
・月経時以外にも下腹部痛などが起こる
・排便時に肛門より少し奥まった部分が痛む
・月経前後お腹の膨張感
・経血量が多く期間も長い


子宮内膜症と不妊
子宮内膜症では、不妊も代表的な症状のひとつにあげられる。
不妊の検査を受けて内膜症が見つかることが多い。
卵管・卵巣・子宮に炎症や癒着が起こることで妊娠にも影響します。
内膜症だからといって妊娠しないわけではありません。
病巣の場所によっても妊娠への影響度合いはちがいます。
強い月経痛など内膜症に特徴的な痛みを感じたら早目に検査を受けましょう。

検査は?
子宮内膜症は発生する場所・症状が千差万別です。
正しい診断、十分な検査と総合的な判断が必要です。
検査の意味を知り、不明なことがあれば主治医に相談しましょう。

子宮内膜症の検査の流れ
検査・診断は一般的に次のように行われます。

[1] 臨床診断
問診初経、月経周期、妊娠・流産などの有無、自覚症状など質問して状況をつかむ。
痛む時期や場所、痛み方など自分の状況を整理しておきましょう。
  ↓↓
内診
子宮の大きさ・かたさ・卵巣の周囲の状態などをみる。
性交経験のない人には行わないことが多い。

直腸診
肛門から指を入れて、ダグラス窩のしこりや子宮の後ろ側の様子をみる。
性交経験のない人に内診のかわりに行う。
  ↓↓超音波検査
子宮・卵巣・卵管の様子をみる。
チョコレートのう胞・子宮腺筋症・子宮筋腫の有無や大きさなどがわかる。
  ↓↓
血液検査
CAー125という腫瘍マーカー値、貧血の有無など調べる。
内膜症の場合CAー125の値が高くなることがある。

*CAー125とは…糖たんぱくの一種で正常な子宮内膜・卵巣のう胞・卵管など産生され、卵巣ガン・子宮ガンがあると大量に産生されようになり血液中の数値も上昇するので、子宮ガン・卵巣ガンに特異な反応を示す腫瘍マーカーとして利用されている。
CAー125は子宮内膜にも存在するため子宮内膜症の診断・治療効果の判定・経過観察としても用いられる。

[2] 場合によって
MRI検査
病変の位置や程度などを見る。
卵巣がチョコレートのう胞や子宮腺筋症が疑われる場合はガンとの識別も必要となる。

CT検査
子宮や卵巣の状態を確認する。
通常子宮内膜症の検査にはMRI検査が行われ、さらに必要があった場合にCTを行う。


[3] さらに必要な場合は
腹腔鏡検査
確定診断をするために必要な検査。お腹に小さな穴(一般的に約5㎜)をあけ、
その穴から腹腔鏡を入れてお腹の中をモニターに映し出し、病変を目で確認する。
検査と同時に治療も行える。


〜次回は治療法を考えます〜

このブログの人気の投稿

酵素について Vol.13

体が若くなる技術〈3〉vol.2

女性の病気 徹底検証 ~西洋医学的考え~ 卵巣の病気…②