女性の病気 徹底検証 子宮の病気…③

◇子宮内膜症 どう治す?

治療は大きくふたつ
・薬を使った治療
・手術による治療

子宮内膜症が原因と思われる不妊の場合、不妊治療を優先することもある。
妊娠、出産で月経が止まると、内膜症の症状が軽くなるケースもあります。

病気の進行状態や症状はもちろん、患者の年齢・妊娠を望むかどうかといった事で治療方針が変わってくる。
希望をきちんと主治医に伝えることが重要なポイントとなる。

子宮内膜症は再発をくり返しやすい病気のため、定期検診が欠かせません。
再発時に前と同じ症状が出るとはかぎりません。
何も症状がないとか、痛みが違うからといって検査をしないでいると
良い状態を保つために、定期検診を忘れずに続けましょう。



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治療法を考える時のポイント

[1] 妊娠・出産の希望
=妊娠・出産を望む場合=
望んでいる時期や年齢を考慮。
すぐに妊娠・出産を希んでいるなら月経を止めるホルモン療法は行わず、
腹腔鏡下手術(保存手術)を行うか、 不妊治療と痛みを止める対症療法を会わせて進めます。
まだ、妊娠・出産は先と考えているなら、ホルモン療法で病気の進行を遅らせることができます。

=妊娠・出産を望んでいない場合=
閉経までの時期などを考慮して年齢により治療方針が決められます。


[2] 痛みの強さ
=がまんできる程度の場合=
対症療法で経過をみて行きます。

=寝込むほど強い場合=
ホルモン療法を行い、効果がなければ手術を行います。


[3] 卵巣チョコレートのう胞の有無と大きさ
=5㎝未満の場合=
薬物療法を行いながら経過をみて行きます。

=5㎝以上の場合=
破裂やガン化などの心配もあるため、手術を行います。



子宮内膜症の薬物治療

薬を使った治療方には痛みを抑える「対症療法」と、
ホルモン剤を使って治療する「ホルモン療法」があります。

《対症療法》
鎮痛薬や漢方薬を使って痛みを抑えます。
初期の段階で内膜症が見つかった時や、薬で抑えられる程度の痛みの時に使われる治療です。
鎮痛薬は痛みが強まってから飲むより、痛みが始まりそうな時に飲むと効果的です。
何種類かある鎮痛薬のどれが効くかは人によって違います。
あまり効果が得られない様なら、薬をかえてもらいましょう。

《ホルモン療法》
ホルモン剤で月経がない状態にし、症状を改善したり、進行を抑えたりします。
閉経と同じ状態にする「偽閉経療法」、
ピルを使って妊娠と同じ状態にする「偽妊娠療法」、
それぞれの薬の効果や副作用をよく理解して選択することが大切です。



子宮内膜症で使われる主なホルモン剤について

《 GnRH  アゴニスト》
皮下注射タイプ・点鼻薬タイプがある。
エストロゲン(卵胞ホルモン)を抑え、月経を止めて子宮内膜の増殖を防ぎます。副作用で骨量が低下してしまうので、使用は6ヶ月までとされます。6ヶ月使用後は6ヶ月休止する。
[副作用] 閉経状態になるので、まれにほてり・のぼせ・うつ症状など、更年期に似た症状がでることもある。骨量も低下します。

《低用量ピル》
人工的に妊娠状態にし、月経を止めて子宮内膜の増殖を抑え、月経痛も改善されます
一般的には毎日1回3週間服用して、1週間休むというサイクルで使います。
[副作用] 頭痛・はきけ・不正出血など(だんだん慣れる場合が多い)
タバコを吸っている人は服用できない事があります。

《ダナゾール》
ステロイドの一種で、月経を止めるけでなく、子宮内膜組織に直接働きかけて萎縮させます。
4ヶ月ほど毎日飲みその後、休止期間を取ります。副作用が強いので最近はあまり使われません。
[副作用] 男性ホルモンを誘導するので、肥満・ニキビ・声が太くなる・毛深くなる等します。血栓や肝機能障害になる事もある



子宮内膜症の手術治療

薬による治療に効果がみられない時や、病巣が進行する場合には手術を行います。
保存的手術 」と「根治手術」があり、
方法としては「開腹手術」「腹腔鏡下手術」があります。

《保存的手術》
子宮や卵巣を残し、病変だけを取り除く手術。再発の可能性があります。
妊娠、出産を希望している場合や、比較的病状が軽い場合に行われます。
術前術後にホルモン療法を行う事もあります。

《根治手術》
子宮や卵巣、卵管を全て摘出。再発の心配はありません。
重症で薬物療法では効果がない場合、妊娠・出産を望まない場合に行われます。
手術後、女性ホルモンの不足で更年期の様な症状がでる事があるため、片方の卵巣を残し、その症状を抑える手術もあります。
閉経までにまた何年もある人に行われます。


≫ドクターズ アドバイス≪
      内膜症とのつきあい方

子宮内膜症は閉経するまで少しずつ進行する病気です。
長く病気とつきあって行くために、病気に対する知識を持ち、治療方法を理解して治療に望む様にしましょう。
不妊の原因にもなるので、内膜症の状態を管理しながら、妊娠・出産の計画を立てる必要もあります。
そのため、医師とのコミュニケーションは重要です。
信頼できる主治医をもって治療の相談をする事は、病気とつきあいながら質の良い生活を送るためゆは欠かせません。
名医であっても人間同士、どうしても相性が合わない事もあるかもしれません。
その場合は病院をかえる事なども考えましょう。
睡眠や食事などに注意し、できるだけストレスをためないようにする事も大切です。

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